『乱流の科学: 構造と制御』
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51eMcxzU5FL._SX353_BO1,204,203,200_.jpg#.png https://www.amazon.co.jp/dp/4254201613
table:bibliography
著 日野幹雄
件名標目 乱流
出版日 2020-05-13
出版社 朝倉書店
ISBN-13 9784254201611
NDC10 423.84
NDL search
https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=20161
乱流の作用は運動量・物質・熱などの拡散,混合とエネルギーの消散である。乱流なくして我々は呼吸もできない。乱流状態がいかにして発生し作用するか,その基礎的メカニズムを詳細にかつできるだけ数式を使わずに解説した珠玉の解説書。
関連資料
紹介文
日野先生の特別講演
文献リスト
あまりに膨大過ぎて、本書に収録できなかった分
正誤表
2014~2015頃までの乱流の研究結果を把握できる本
めちゃくちゃ分厚かったtakker.icon
乱流研究史としての側面も大きい
それ以降の話題は補遺として公開されている
まだ更新がつついているようで、takker.iconが2022-09-22 10:17:53 に確認した更新日時は2022-08-11だった
この補遺もかなり分厚い
先生の考察メモなどもそのまま載っている
特別講演の質疑応答もある
福岡捷二教授への解答
この人会ったことあるような……takker.icon
重要な問答だと思ったので引用takker.icon
戦後,日本の水理学研究の第 1 世代(私はその末尾に連なると思うが)は,従来は経験や実験から得られた公式を,理論的解析的に導くことであった.また,如何に手を付けたら良いか解らない現象を理論的に解明する事が求められた.従って,当時は土木も機械もHydraulics では同じようなことを遣っていた.事実,私は若い頃,機械のある先生に頼まれて機械学会誌に乱流研究の解説.論説を書いた.
しかし,その後水工学では,環境問題,水資源問題,防災と次々に喫緊の問題が発生し,基礎の研究が疎かになった.事実,最近の乱流のコヒーレント構造の研究を主導したのは,機械系,物理系,航空系の研究者で,土木水理学.水工学系の研究者の貢献は国内,国外共に少ない.
理科大の理工学部で流体力学をやっているのは機械工学科で、土木水理学では見かけないtakker.icon
機械工学科の方に、流体力学の研究紹介パネルがあった
土木水理研でも、二瓶泰雄さんあたりはやっていそう?
なので、この記述はすっと心に落ち着いた
各人の専門に関わりなく,乱流という不思議で解けそうもないと言われた現象(我々の扱う水や空気の流れは殆どが乱流である)の本質を知って欲しい.でなければ,我々は「置いてき堀」になってしまう.土木水工学は Science ではないと馬鹿にされてしまう
乱流研究の成果がどのように水工学に応用されているかの幾つかの例は,講演や原稿に示した.主に環境問題が多いが,防災にも役立つであろう.
数年前,名大の坪木先生が台風発生の数値シミュレーションが出来るようになったと講演で話した.私はすぐに,「では台風の制御も何れ可能になるでしょう」と意見を述べた.講演後,東大海洋研所長の新野さんがやってきて,「自分もそう考えたことがある.しかし,台風の発生は海面温度だけではなく,風のシアーも関係する」と言った.海面温度は人工衛星ですぐ解るが,風の場は簡単には解らない.それに,降雨の制御は,国際河川の場合と同じく国際問題でもある.雨が降って困る国,被害が出る国,逆に雨が降らなければ困る国の間の協議が必要となる.
現在では,豪雨災害は土木技術だけで解決するのは無理で,政治と法律も含めた対応が必要である.しかし,今世紀末には降雨制御の可能性が幾分か目安が付くと予想している.
坪木和久先生は、台風研究の第一人者takker.icon
直近だと、台風14号の航空機観測に成功した
対数則vsベキ乗則の話がある
目次
リンクはあとで貼る
量が膨大過ぎて、とてもじゃないが一気に読んでブラケティングするのは大変だtakker.icon
1. 乱流研究小史
1.1 流れと渦       
1.2 レイノルズの実験―乱流の発見―    
Reynoldsの乱流実験
1.3 19世紀末から20世紀初めにかけての新しい科学の胎動
1.4 20世紀に入って          
1.5 テイラーの一様等方性乱流の統計理論
1.6 コルモゴロフの局所等方性の理論
1.7 乱流が秩序構造をもつことの発見と認識
1.8 コンピュータ時代
1.9 乱流の制御
1.10 乱流研究の発展史
参考文献
2.乱流構造の解析手法
2.1 統計処理―スペクトルと相関―
2.2 乱流運動の検出法
2.3 統計的乱流構造抽出法
2.4 速度勾配テンソル―渦の同定,検出法の数学的準備―  
2.5 種々の渦同定,抽出法  
2.6 種々の渦判定法間の関係
2.7 渦シートの抽出法
2.8 種々の渦同定法の比較  
2.9 流れ場のパターン(流れのトポロジー)と速度勾配テンソル
2.10 乱流の計算と計測
参考文献   
3.安定と遷移
3.1 はじめに―粘性流れの不安定,遷移の研究―             
3.2 平板に沿って発達する境界層の安定,遷移問題
3.3 平行平板間のポアズイユ流とクエット流および円管流れの安定,遷移問題
3.4 円管路流の遷移過程               
3.5 平行平板間の流れの遷移過程     
3.6 境界層流とポワズイユ・クエット流の乱流斑点  
3.7 固有値解析の限界―モード解析と非モード解析―
3.8 遷移過程における乱流化最適擾乱解
3.9 定常クエット流の3次元秩序構造の厳密解―乱流の秩序構造の祖型―
3.10 絶対不安定と対流不安定
3.11 円柱および角柱・平板の後流の安定問題―カルマン渦列―
参考文献
4.一様等方性乱流
4.1 リチャードソンの渦の詩とコルモゴロフの-5/3乗則    
4.2 一様等方性乱流の直接シミュレーション      
4.3 乱流諸量の定義   
4.4 一様等方性乱流のエネルギー・スペクトル     
4.5 エンストロフィーとエネルギー消散率
4.6 消散,エンストロフィーおよび圧力のスペクトル  
4.7 一様等方性乱流の物理空間での渦構造-ワームと渦シート―  
4.8 乱流の要素渦と微細渦―エネルギー消散機構―
4.9 波数空間でのエネルギー輸送:エネルギー輸送関数T(k)とエネルギー流束Π(k)―カスケードと逆カスケード― 
4.10 物理空間でのエネルギーとエンストロフィーの輸送―渦構造の空間的時間的間欠性,局在性―    
4.11 渦素近傍の渦運動と機構       
4.12 等方性乱流中の渦の生成過程とエネルギー輸送機構   
4.13 Taylor-Green過程―大きな規則的な渦場からの乱流場の形成―
4.14 等方性乱流の不安定周期運動           
参考文献                
5.壁乱流のコヒーレント構造
5.1 壁乱流のコヒーレント(大規模秩序)構造の発見と展開の歴史
5.2 壁乱流のコヒーレント構造
5.3 外層のコヒーレント構造―ヘアピン渦の連なり―  
5.4 壁乱流のその他の特性-相関,1次元および2次元スペクトル,エネルギー輸送,確率分布―
5.5 壁乱流における渦チューブと渦シート 
5.6 圧力変動               
5.7 乱流の自己維持機構―壁近傍領域の乱れの自律,再生維持サイクル―                       
5.8 乱流中に埋め込まれた不安定周期解
5.9 厳密コヒーレント構造
5.10 乱流モデル
5.11 粗面,川,波,植生層,都市の流れの乱流構造  
参考文献
6. 混合層,剪断層の乱流      
6.1 乱流混合層の巻き上がり 
6.2 渦の合体
6.3 リブ構造
6.4 リブ渦の間隔     
6.5 乱流化
6.6 PODおよびウェーブレットによる混合層の解析
参考文献
7. 後流の秩序構造,大規模構造
7.1 円柱の後流―カルマン渦列,発生周期,抵抗―  
7.2 円柱後流の渦構造
7.3 第2渦列の出現    
7.4 カルマン渦列に関するその他の問題
7.5 角柱と平板の後流
 7.6 球の後流
参考文献
8.軸対称噴流
8.1 軸対称噴流の安定性
8.2 安定問題の数値シミュレーションおよび実験
8.3 軸対称噴流近傍領域の渦構造
8.4 軸対称噴流の遠方領域の構造
参考文献
9.境界層の遷移,剥離の制御
9.1 境界層の安定化―遷移制御,乱流への遷移を遅らせる方法― 
9.2 境界層の剥離を防ぐ方法―流れを乱流化する方法
9.3 縦渦の安定化効果,遷移制御
9.4 後退翼境界層の遷移,剥離の制御
9.5 遷移の能動制御
9.6 プラズマ・アクチュエーターによる剥離制御
9.7 音による剥離制御
参考文献
10.混入物,添加物による乱流制御―乱流の制御(1)―
混入物・添加物による乱流制御
10.1 抵抗則と抵抗低減
10.2 ポリマー混入流
10.3 ポリマー流のECS ―層流3次元進行波厳密解―
10.4 一様等方性乱流中でのポリマーの挙動 
10.5 界面活性剤
10.6 気泡の混入
10.7 固体微粒子浮遊流
参考文献
11.表面加工による制御―乱流制御(2)―
表面加工による乱流制御
11.1 リブレット
11.2 コンプライアント(柔軟性,柔順性,柔応性)表面
11.3 翼前縁形状の加工
11.4 LEBU
11.5 撥水性表面加工
11.6 空力音,騒音の制御
参考文献
12. 能動制御―乱流の制御(3)―   
12.1 はじめに
12.2 壁乱流の自己維持機構の概要と抵抗低減の基本戦略
12.3 制御理論
12.4 線形化ナビエ-ストークス方程式    
12.5 制御デバイス
12.6 様々な能動制御法―能動制御(Ⅰ )―      
12.7 流下方向の壁面運動による抵抗制御―能動制御(Ⅱ)―   
12.7 壁面のスパン方向の振動,波動による能動制御―能動制御(Ⅱc)― 
参考文献
13. 日本における乱流研究
13.1 日本の乱流研究の先達者達
寺田寅彦/谷一郎/今井功/井上栄一/松井辰彌/濱良助/佐藤浩/種子田定俊/巽友正
13.2 日本の乱流研究への貢献
13.3 乱流と私
人名索引/事項索引
#2025-06-30 09:11:54
#2022-09-22 10:08:43 scraped